第662話 家臣たちの事情

 ガニーに戻って家臣たちと相談しても、ラーフェン南部の解放に向かうことに問題は無いようである。ただ、リブルドーの魔物については責任があるかもしれないので対処を考える必要がありそうであるが。


「それと、こんなときになんですが、ご報告がありまして……」

「イド、どうしたの?何か問題?」

「いいえ、そうではなく。どうもウチのが妊娠したようでして」

「え、本当?それはおめでとう!お祝いしないと!それに奥さんにお願いしている仕事は代わりを探さないと!」

「ジェロ様、落ち着いてください。そんなすぐに生まれませんから。お屋敷の家事などについては孤児院の子供達が役立っていますし」

「うん、知り合いに声をかけて手伝いに来て貰っても良いから。ちゃんと給料も十分に払うから。え、でもそれよりラーフェン南部になんか遠征しちゃダメじゃない!」

「いえ、それはそれ。もともと冒険者の仕事はそんなものと分かっていたやつですし、今回も筆頭家臣がなんで一緒に行っていないの、と叱られたぐらいで」

「いやいや、そんな考え方は古いって怒られるよ。(いや、誰に?でも……)それこそ開拓地の管理の話とか、追加で雇うお手伝いの人のこととか。そうだ、開拓地にも人を増やさないとダメだし、ここに残ってやって欲しい仕事もいっぱいあるよ。イドになら安心して頼めるし」

「いやそんな」

「ねぇみんなもそう思うよね?」

「……実はうちも、でして」

「え?レナルマンところも妊娠!?良いことじゃない!じゃあ二人で残って領地経営とかお願いするよ」

「はぁ……」


「ジェロ様、さらにこんなときに……」

「え、エヴラウル?」

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