第653話 リブルドーでの某王太子たち
「いつになったらこの魔物たちは退治されるんだ?」
「ルージャンに押し寄せているユニオール皇国軍やコンヴィル王国軍を、魔人が追い払ったら、かな」
リブルドーの城壁で外に溢れる魔物を見下ろしているのは、コンヴィル王国の元王子のギャストルとラーフェン王国の王太子のオンハルトである。今はムスターデ帝国において厄介な客人扱いを受けている。
2人は魔人アラトラスのおかげで王都ルージャンまで北進し、奪った王城にいっときは滞在していたのだが、状況が大きく変化した。
まず皇国軍がリブルドーまで攻め入り街を解放。それによりベルカイム王国を占拠していた帝国軍は南北に分断された。そのまま皇国軍は破竹の勢いで王都まで北上して来て、彼ら2人は皇国軍に捕まる可能性に恐怖を感じていた。
ところが帝国が再び魔人を派遣して来たことで、王都を包囲していた皇国軍やコンヴィル王国軍を撤退させたのである。
そして今度は帝国軍が皇国軍に解放された街を再び占領下に置くため南進。このリブルドーの街も再度帝国軍が支配することになった。この南進には、手柄を立てたい彼ら2人も同行していたのである。
しかし、そのようにベルカイム王国にいる帝国軍支配が再び南北で連結できて安堵したのも束の間、西の山脈から大量の魔物が押し寄せてきてリブルドーの街を包囲したのである。
街に居る冒険者たちも駆り出しながら帝国軍は魔物退治を行なっているが、数が多くて対処が追いついてはいない。魔物の数も少し減り出した気配もあり、街になだれ込まれる気配までは無いが、住民たちの感情も良くないこともあり居心地は非常に悪い。
「早く魔物を退治して、もう少し住民と離れた場所で落ち着ける拠点に移動したいものだ」
「そうだな。ん、あの西の空を飛んでいるのはまさかワイバーンじゃないだろうな?」
「西の山脈にはワイバーンが棲むと聞いているが今は来ていないのに!?イヤ、あれはこっちに向かっているのではなく、北から南に飛んでいるようだ。関係ない鳥か何かだろう」
「そうか。あの魔人もいけ好かないが、この街の魔物を退治してくれたら褒めてやっても良いのだが……」
その魔人がジェロたちと、遠くの空を南下していることを知らない王太子たちであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます