第640話 ルージャン近くの皇国軍3

 ベルカイム王国の魔術師団長プランケットの話に疲労感を感じたジェロは、今日のところは、というデュクロの散会の言葉に感謝する。


「ジェロ様、あの男が魔術師団長のイニャス・プランケットらしいですよ」

「確か、皇国と帝国の2大国のいずれにも片寄せず蝙蝠のように上手く立ち回るように発言していた……」

「はい、確かそのような話の。そんな太鼓持ちの雰囲気が十分に感じられましたね」

 ヒルデリンとも別れて、男女2部屋を割り当てられたなか、ジェロの方の部屋に集まっている3人。


「それで、これからどうされるのですか?」

「まずは王城に居座っているかもしれない魔人を確認するところからかな」

「前に王都に潜伏していたときの知り合いに会いに行って情報収集します?」

「いや、俺たちは王都の陥落を手伝いに来たのではないから、魔人らしき人物のみに気を使おう。そうでないと早く帰ることができなくなるし、3人だけで来たのはその意図なんだし」

「そうですね。敵の魔法使いからヒルデリン王子を助けに来ただけでしたね」


 翌日、ジェロたちの参加を踏まえての軍議が開かれる。

「テルガニ侯爵の魔法で城門などを攻撃頂いたら、きっと敵の魔法使いも姿を現すと思われます。その相手をお願いできれば、後の一般兵については皇国軍の力を持って対処いたします」

「テルガニ侯爵、我がベルカイム王国の魔術師団の団員の生き残りたちもお手伝い致しますぞ」

「いえ、プランケット殿、その皆さんには今まで通り私たち皇国の魔術師団と行動を共にしてください。≪飛翔≫ができる方々の戦いとは別に、我々の方も王都奪還のために重要なことですので」

「そ、それもそうですな。デュクロ殿の部隊との共闘、頑張りましょう」

 デュクロがジェロに目配せした気がするので、軽く頭を下げておく。

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