第617話 開拓発展2

 ガニー領主のところにはメオンと共に行き、ガニーと開拓地をつなぐ南北の街道を作る許可を貰う。

「テルガニ侯爵の開拓地が発展していけば、その街道のおかげでガニーの街も恩恵を受けることになることでしょう。こちらからお願いしたいことです」


 ジェロにしてみると一番億劫に思っていた用事が無事に終わり、メオンにお礼をした後に安心して自身の屋敷に帰る。

「ジェロ兄、おかえり!」

 隣の孤児院から子供達も遊びに来ているようで、元気な声で迎えられる。


 イドとレナルマンの奥さん達にも開拓地に来て貰うか相談しようとも思っていたが、この屋敷のことだけでなく子供達のことを考えると、別の人にお願いした方が良いと考え直すジェロ。

「ジェロ様、どうしたのですか?」

「え?あ、あぁ。そのうち開拓地にも家事をして貰える人が必要になるかなと。グンドルフの部下の5人だけでは100人の面倒を見るのは大変だろうと思って」

「そうですね。募集の話を出せば、テルガニ家への偵察のために送り込みたいと応募してくる人は多いかと」

 マドロールの発言に皆が頷くのでジェロは面倒に思い、もう少し後でも良いかと思ってしまう。


「それよりも、開拓地のお名前もご検討くださいね。街の名前になっていくだけでなく、そのまま領地の名前になりますので」

「え?テルガニじゃないの?」

「いいえ。国家として長らく領地の新設がなかったから官僚たちも漏らしたのかもしれませんが、そのうちに言ってきますので、心づもりを」


 ルーセル・アルカン・ガニー男爵、ルベリート・バンジル・モージャン子爵、シャアヌール・エロー・ニースコン男爵。マドロールが例をあげるが、確かに一番中心になる街の名前を領地の名前にして、自身の家名の後に付いていると認識する。

「うん、そのうちね……」

 先送りすることが増えていき、

『……』

とヴァルからも呆れられるジェロであった。

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