第611話 開拓拠点検討

 コンスタンの従えているワイバーンのルッツが森の上空を飛んでいる。

「やはり騎馬組の方が先に着いていたようです」

「うーん、やはり街道の整備をした方が良いね。直線距離ではこっちの方が短いから」

「そうですね。もし道が整備できると、その道中にある拠点の繁栄は期待できますね」

「そうは言ってもニースコンに恨まれない程度に抑えたいところだね」


 北の方にガニーの街があるはずの場所。南には森、そのさらに南には国境の山脈がある場所である。ここならばガニーの領地ではなく、テルガニ家に与えられた領地のはずである。

「まずは水の確保ですよね。農業をすぐにするつもりではなくても」

「そうだね。井戸も欲しいけれど小川もあった方が良いよね」


 山脈を越えて来たすぐ後なのにジェロ主従は元気である。やはり戦馬のおかげであろう。一方、自分の足で歩いて来た約70名はしゃがみ込んで休んでいる。とはいえ流石は元兵士だからか、脱落者は居ない。

 少し前にはムスターデ帝国軍がガニーを攻めるために越えたルートであり、徒歩が得意ではない体格でさらにそれなりの年齢であるムラン伯爵も越えた道である。


 遠くに見えていた騎馬組も狩りをやめて近づいてくる。

「エヴラウル、軍隊行動をしているように見えるとガニーの人たちが心配するぞ」

「あ、そうだな。もっと南か東の森に近いところでするように言っておくよ」

「それと、30人規模ではなくもっと数人規模の少数にバラけて。あと出来れば鎧姿はやめておいた方が良いだろうな」

「わかった。ヤーコプに伝えておくよ」

「今日は、その狩りの成果を皆で頂くことにしよう」


 廃村にしばらく駐留できるだけの食料もラーフェン王国からは貰っていたが、それらはジェロの魔法の袋に収納して持って来ている。それと、騎兵たちが狩った角兎ホーンラビットなどを用いて3日ぶりに揃った100人以上がいくつもの焚き火を囲んで食事にする。

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