第610話 部隊編成2

 いつまでも廃村を拠点にしていると、そこはラーフェン王国側にあるため後々が面倒になることを懸念する。そこで、まずは北に向かい国境の山脈を越えて、ガニーの街に近い森で拠点を作るつもりである。


「じゃあ、馬がいない徒歩の部隊、弓兵と歩兵を中心に、このまま山越えをして貰おう。向こうに拠点は作るが、この廃村とも行き来を繰り返すことになるだろうから、皆で道を覚えるように。出来るならば街道を整備するくらいの気持ちで」

 街道を作るくだりでは冗談と思ったようで、皆が苦笑いをする。


「アルマティ、一緒に手伝って」

 エルフのアルマティにも覚えさせた木魔法の≪根縛≫を、ジェロがこっそりヴァルたちと一緒に活用して、単なる木々が乱雑に生えていただけの森の中に道らしい場所を作る。さらに≪石人≫による3体のストーンゴーレムをその道を進ませることで、獣道とは比べられない舗装された道が目の前にできあがる。

 とは言っても数十mほどのものであったが、新たに仲間になった100人にすれば、この主従の魔法の力を初めて体感する出来事であり、言葉を失う。

 一部の者は、≪根縛≫魔法に対して、自分達がルグミーヌ王国軍に負けた時のトラウマがあったようで、震えている。


「ジェロ様もムキになって遊んでいないで。早く行きますよ」

「みんなも、この魔法は味方、自分達の役にたつものだから怖がらないでね」

 戦馬(バトルホース)はこの程度の森は苦にしないようであり、前からの家臣たちのほとんどは、その弓兵や歩兵と共に山を越えてガニーに向かう。


 通常の馬がいる騎兵隊は、ニースコンとモージャンを経由してガニーを目指すように、エヴラウルとジョジョゼの2人に先導させる。途中でモージャンのアナトマ商会に寄って注文をすることも頼んである。

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