第600話 王都から退出

 侯爵への陞爵(しょうしゃく)、領地や屋敷の受領など色々あった王都での用事も終わり、次はいよいよ戦争奴隷100人の受領などにラーフェン王国に向かう必要がある。


「ユゲット様も一緒に来たのだから、帰る旨を伝えないとまずいよな……」

 ユゲットへの伝言のためモージャン子爵の屋敷に行く者、クシミールたち王都屋敷の従業員を連れてアナトマ商会がテルガニ家の実質の御用商店であることを紹介に行く者と手分けする。

 他に、せっかく王都に来ているので、ガニーの街などでは購入が難しい魔剣などを探すチームも手当てした上で、ジェロはイドとレナルマンと3人で冒険者ギルドに向かう。


「そうか、王都を出るか。しかし、ベルカイム王国への出兵の話は全く出なかったのだな?王国騎士団からも王国魔術師団からも」

「はい」

「ふむ。戦力としては期待したいところだろうに、コンヴィル王国としては出兵に本気ではないのか、それともこんなところで戦争を好まないテルガニ主従を駆り出すことを回避するつもりか……」

「ザール様。ジェロマン様には領地経営に着手して貰うことを優先させたい意図もあるのかと」

「そうだな、レナルマンの言う通りかもな。まずはラーフェン王国との関係性の方が重要だろうな。ベルカイム王国にいるムスターデ帝国軍はユニオール皇国軍が頑張るだろうから、コンヴィル王国にはそれほど脅威と思っていないだろうし」

 冒険者ギルド本部でザールとも別れの挨拶を済ませたジェロ達は、適当な買い物をして屋敷に戻る。


「では、クシミール、アリエメ、そしてみんな。この王都の屋敷のことは頼んだよ」

「承知しました。お預かりしました膨大な貨幣、有効に使用させていただきます」

「うん、無駄遣いしなければ良いぐらいに、必要なところで使ってね」

 やはり一緒に帰ると言われたユゲット達と合流するモージャン子爵の屋敷に寄り、そこからモージャンの街まで騎乗で移動する。

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