第599話 ≪石化≫魔法

 王国騎士団のヴァランタン伯爵達の急な来訪の翌日。新たな魔法の習得を楽しみに王国魔術師団の拠点に再び訪れているジェロ達。


「テルガニ侯爵、こちらをご覧ください。あくまでもこの場での閲覧のみの許可を王太子殿下から頂いて参りました」

「ありがとうございます。これは古代魔術ですね」

『あら≪石化≫魔法ね。王級の悪魔魔法だわ』

「悪魔魔法ですが、王城の禁書庫にはこのようなものも?」

「流石すぐにお分かりですね。はい、悪用されないためにもこの魔術師団の書庫には置かれませんが、過去の歴史の中では入手することがあったようです。ただ習得できる者はいなかったようですが。テルガニ侯爵ならば可能なのでは、と思いまして」

『≪石人≫でストーンゴーレムを作る材料にするのにちょうど良いわね』

『そうか!』

「はい、ありがとうございます!有効活用できるよう頑張ります」


 では、と交換条件であった、自作の改造魔法の解説を開始するジェロ。

「なるほど。火魔法に対して、風魔法で風を送り込むのですね。確かにかまどに風を送ると火力が上がりますよね。ふむ」

「はい、空気の中には燃えるものが含まれているようですので」

『酸素という単語はまだ理解されないようだから説明ができないよな』

「これを別々の魔法で行うのではなく、複合魔法としてこのように。これで上級火魔法の≪豪炎≫≪火槍≫≪炎壁≫をそれぞれこのように改造しております」

「なるほど。上級魔法の習得が難しい上に、それを複数の属性の複合にするとは。このまま習得できる者は限られそうですが、同じ理屈で初級≪火球≫、中級≪火炎≫の改造ならば普及させられるかも。これは我々コンヴィル王国魔術師団の切り札にできるかもしれないですね。王太子殿下に早速ご報告しなくては」

「魔導書の御礼をぜひお伝えくださいませ」


 ラロシェルに改造魔法の解説を行った後は、≪石化≫魔法の魔導書をヴァルの支援も貰いながら読み込み、重要ポイントだけはしっかりメモを取る。

 実際に試してみるのが楽しみでニヤニヤが止まらなく家臣達に呆れられながらの帰宅になった。

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