第589話 王都での報奨2

 国王からの謝罪と報奨の旨の話の後、具体的な報奨の話が続くと思って待っているが次の言葉がこない。

「テルガニ伯爵への報奨については事情があるため別室にて行う。下がって良い」

 少し間があいてからボーヴリー宰相が発言をする。時間があいたと思ったのはジェロの気持ちの問題だけなのか、良くある話だからか、居並ぶ貴族達からも特に声は聞こえない。


 慣れないからの違和感も含めて指示されるままに、待機していた部屋とは別の、装飾の派手な部屋に連れて行かれる。ユゲットとイドも一緒である。

「どういうことでしょうか?」

「私にもわかりません」

 ユゲットにもわからないのであれば仕方ないと思いつつ、不安は続く。


「待たせたな」

「国王陛下!」

 テーブルの椅子に座って待っていたのだが、突然現れた国王に驚き、椅子から降りて跪こうとするジェロ達。

「いや、頭を下げるのは私たちの方だ。ギャストルのせいで申し訳なかった」

と言って、膝をついてジェロの手を取り、共に立ち上がらせるルネスラン・エビナント・コンヴィル国王。

 一緒に来ていたフェリック王太子とボーヴリー宰相の声掛けで皆が席につく。

「先ほども言ったが、謝罪と報奨の話だ。我が第4王女ブリエットはどうかな?」

「はぁ!?いえ、失礼しました。とんでもありません、孤児院育ちの私に」

「そうか、フェリックが言う通りだな。では領地を与えることにしよう」

「え?」

「かと言って、今は領主や代官のいない街はないので、開拓は望むがままという土地にする」

「具体的にはこちらです」

 宰相が地図をテーブルの上に広げて場所を示してくる。

「ここって」

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