第588話 王都での報奨
「では参りましょう」
「どうしても慣れないのですよ……」
登城にあたり、ユゲットがジェロを引っ張って行く。ともに貴族らしい服装でそれぞれの馬車に騎乗し、登城してきたのだがジェロは待機場所に向かうのも足取りが重い。
「おぉテルガニ伯爵!お元気でしたか?」
「え!?ムラン伯爵。それにカルカイム子爵」
「ユニオール皇国の皇都ナンテールでお別れして以来ですね」
外交使節団で一緒であった2人が、ラーフェン王国経由で帰国していたようで、タイミングを合わせて登城していたようである。
「テルガニ伯爵への報奨とお伺いしましたので、我々も同席させて頂くことになりました。今回のベルカイム王国、ユニオール皇国との交渉、そして結果としてラーフェン王国の半分以上の解放に対して、再び白鳩勲章を授けていただけたのです」
「またしてもテルガニ伯爵のおかげです。ありがとうございました」
「いえいえ、皆様のおかげです。私の貢献など……」
「またご謙遜を。この後のテルガニ伯爵への報奨でわかると思いますよ」
気が重い話だと思っていると、ムラン伯爵とカルカイム子爵は先に向かうと出ていってしまう。しばらくして謁見の間に案内されるが、今回はジェロとユゲット、そしてその後ろにテルガニ伯爵家の従士長としてのイドのみが同行を許される。
「ジェロマン・テルガニ伯爵、モージャン子爵令嬢ユゲット・バンジル、ご入場」
謁見の間で国王が座していると思われる前の絨毯を進み蹲るジェロ達。
「テルガニ伯爵、面をあげよ」
「は」
「まずは元王子のギャストルの度重なる問題について謝罪させて貰う。そして、ガニーの街を魔人を含めたムスターデ帝国から守ったこと。ギャストルによって追い出された外交使節団であったにも関わらず帝国にとらわれた彼らを救出したこと。さらに救出したラーフェン王国のモーネ王女と再びベルカイム王国やユニオール皇国へ折衝し、ラーフェン王国へ進軍して帝国から解放。さらに我々のニースコンの街の解放にも貢献したこと。多大なる成果に報奨を与える」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます