第580話 ラーフェン西部

 少し時は遡り、ルグミーヌ王国の王城にて。

「お父様、すでにラーフェン王国の一部がムスターデ帝国から解放されて行っているそうではありませんか!」

「メンヒルトよ、その通りだな」

「では?」

「待たせたな。我々ルグミーヌ王国も出陣する時が来たようだ。国境に向かうことを命ずる」

「お父様!ありがとうございます!」


 ルグミーヌ王国は、先般よりラーフェン王国との国境に軍勢は集めていたが、それより南部においてもムスターデ帝国と国境を接するため、行動が慎重になっていた。しかし参戦しないままラーフェン王国の解放が完了してしまった場合に、戦後の各国との協調関係に汚点を残してしまう。



 王女メンヒルトを擁したルグミーヌ王国軍は国境を越えて東に進むと、国境に少数だけ残っていたムスターデ帝国軍との戦闘になる。

「あれは何ですか!?」

「ルグミーヌ王国が誇る魔術師団の底力です、と言いたいところですが、国王陛下の秘策です。王国に棲むエルフの協力を得ており、彼らが土属性の一種である木魔法を使用しているのです」

「あれは木の根ということですか。敵を拘束してくれるおかげでこちらの被害は抑えられそうですね」


 それ以降は、ルグミーヌ王国軍が街道沿いの街に到着すると、すでに仕込まれていたレジスタンスの行動により大した戦闘になることなく、城門が開かれ解放が進む。

 そして王都ジークセンにまで到着したところで、モーネ王女に会ったメンヒルト王女。

「コンスタン様は何処に?」

「え?あ、テルガニ伯爵の主従はコンヴィル王国に戻られ、今はガニーの街にいらっしゃるかと」

「そんな……」

「いえ、それよりラーフェン王国としてルグミーヌ王国のご支援に感謝を」

 モーネの話は頭に入っていないようであり、側近達がそれ以降の話はまとめていく。

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