第541話 ニースコン奪還後2

ニースコン奪還後の復興の手伝いにおいて、ジェロは最初に司祭ヴァレールの元に向かう。

ガニーからニースコンの冒険者ギルドの手伝いに来た際に、回復薬の調合のコツを教わったり孤児院の子供達と交流したりした教会が心配だったからである。


「あぁジェロさん、いえ、伺いました。テルガニ伯爵。この街の解放にもご活躍されたとか。どうかこちらのことなどお構いなく」

「ヴァレールさん、そんなことおっしゃらずに。私はお世話になったジェロのままですので。崩れた場所など復興すべきところはありませんか?」

「いえ、本当に大丈夫ですよ。先日お越しいただいたときにもご覧いただいたように、流石に帝国兵も教会を何かすることはありませんでしたし、解放の戦いのときにもこちらは影響がありませんでした。神のご加護のおかげですね」

「それは良かったです。シスターや子供達もそのうち帰って来られるでしょうし」

「はい、お気遣いありがとうございます。もしお願いできることがあるのでしたら、ガニーの街の司祭ローランスに、私や教会は無事であったことをお伝え頂けますと幸いです」

「承知しました。この後にはガニーの街に戻り、教会にも帰還の報告をするつもりですので。ガニーの教会の隣が私の屋敷になりましたので、ガニーにいらした際には是非ともお立ち寄りくださいませ」

「そんな恐れ多い」

「どうか引き続きのお付き合いをお願いしますね」


教会が無事であったことに安心はしつつ、ヴァレールの遠慮した態度を残念に思うジェロ。



復興もひと段落したところで、ガニーに帰る許可を王太子に貰う。

「そうか、わかった。ニースコン解放や復興の活躍も、報奨の追加検討の際に考慮するからな。王都への出頭は急がないから、ガニーでしばらくゆっくりするが良い」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る