第539話 ニースコン奪還3
「お前、首が飛んでもおかしくなかったんだぞ!」
「そうよね。まぁジェロ様への報奨が増える可能性が高まって良かったじゃない」
「いや、相手によっては不敬罪の相殺で減らされるかもしれないのだぞ」
「う……あの王太子なら大丈夫っぽいし……」
「まぁ確かに、ジェロ様をユニオール皇国やラーフェン王国に引き抜かれないように、機嫌を損ねないように、報奨も十分にする、ということは考えられるが」
『国王に会わずして陞爵って、あの王冠による契約魔法は?』
『まぁやっぱりあの契約魔法に対してその程度の期待なのかも。いえ、もしかすると魔道具である王冠の機能を国王自身も認識していないのかもね』
陞爵に伴う支度金まで渡されてしまったので、ジェロは疑問に思うが、ヴァルは大して気にしていない。
王太子自らの謝罪もあり、ジェロ主従はニースコン解放も前向きに行うしかないと割り切っている。夜中の兵士の運搬のついでにジェロは、お世話になった司祭ヴァレールに会いに行き、街に残った老人達に対する帝国兵の横暴などを改めて認識したのもある。
そこで、昼間の城門における攻防での、帝国軍の上級魔法使いや指揮官への狙い撃ちも行っている。
「ギャストル王子を人質にすることも懸念していたのだが、もしかすると移送されたのかもしれないな。ニースコンが奪還される覚悟で」
「ラーフェン王国の街と違い、この街は無血開城の際に住民のほとんどはモージャンなどに避難したから、街内から内応できる人数も少ない。人質も居ないなら、力押しするか」
「兵糧攻めの効果の感触がないままだが、帝国兵とは元の地力が違うのに勝てるのか」
「あのテルガニ伯爵主従の魔法を活用すれば大丈夫だろう」
王太子軍にも結局は良いように使われ、積極関与することになったが、中級魔法の自作スクロールを家臣達にも使用させることで更なる戦力向上となり、味方の被害は抑えられている。
決着が見えたこともあり、帝国軍少将のロルフ・ゲッツェ伯爵が自分の身を差し出すことで部下の助命を申し出て来たので、ニースコンの奪還は終結となった。
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