第537話 ニースコン奪還
王都ジークセンを出発した後、ルスハン、ステフェン、ゲンベランの街を順調に通り過ぎる。
ジェロ達にするとこの3つの街は帝国支配下であったときにモーネ王女の奪還などのために潜伏した経験しかないので、安心して宿に泊まったりできることに違和感を感じつつ平和のありがたさを感じるのであった。
ただ、正確には問題が1つ当初に発生していた。
「どうしてそうなるのですか?」
「あら、私は外交使節団の役目を終えるとモージャン子爵の娘ですので、貴族として馬車に乗るのに違和感は無いですわよね」
と、リスチーヌに対して答えるようにユゲットが乗る馬車の問題であった。
ユゲットが事前にモーネに対して馬車の提供を断っており、ジェロの馬車への同乗を求めて来たのである。王太子達の軍勢には貴族令嬢のための馬車らしいものは無いので、商人アナトマが調達したしっかりした造りのジェロの馬車が候補になる。
「では、ユゲット様とジャクロエ様でお使いくださいませ」
と、ジェロが馬車の提供はしつつ自身は騎乗するという流れになったのがオチであったが。
そしていよいよコンヴィル王国との国境も超えてニースコンの付近に到着。
「では、我々はユゲット様の馬車の御者と護衛のために先にモージャンに向かうのでよろしいでしょうか」
きっと言い出せないと思われるジェロのかわりに、従士長としてのイドがフェリック王太子の軍勢の幹部にそれとなく話しておき逃げ切ろうとしていた。
「何を申される。ぜひニースコンの奪還にもご協力を頂きたく。ユゲット様達は本陣で一緒に待機頂こう。その間の護衛は王太子様の親衛隊が一緒に行うのでお気になさらずに」
と、逆に王太子の意向を確認するまでもなく、参戦を決定されてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます