第523話 魔人アラトラス

「待っていたぞ、ガニーの英雄様よ!」

ドナシアンの作戦で、秘密の道を通って王城に潜入する部隊が動きやすいように、王城の上を≪飛翔≫で飛んで陽動する役割を受けていたジェロたち。事前に聞いていた備蓄庫のあたりに対し、アルマティとリスチーヌの3人で火魔法による攻撃を行う。

当然に帝国軍による弓矢や魔法による攻撃は覚悟して、それらが届かない上空にすぐに逃げる予定であった。


そこに、まさかの因縁の相手が登場である。モーネ王女を奪還したときにジェロに大怪我をさせた魔人アラトラス、そして人間サイズの悪魔フォメレクである。

「待ってくれと頼んだつもりはないのだが」

「いやいや、そう言うな。お前と会えるのを期待してニースコンやリブルドーに行ったのだぞ。今日は王女を抱えていないのだから、全力で戦えると思って良いんだろうな?」

『くそ!リブルドーが落ちたのもコイツのせいか』

『ハポリエルとリバイモンはあの悪魔の相手をさせるわよ』

『頼んだ』


「あんた、あのときジェロ様を焼いた魔人ね!」

「ほぉ、地上から魔法を放っていただけの小娘たちが空を飛べるようになったか。良いぞ、一緒にかかって来い」

「いや、2人はなるべく離れておいて!」

「そんな、ジェロ様!」


『さぁ練習していた新魔法を披露しちゃいなさい』

『分かっているさ』

皇都からラーフェン王国までの馬車での行軍。その暇な時間で、前世知識などを活かした改造魔法をいくつか開発していたのである。まさに前にこの魔人アラトラスに大怪我を負わされて考えていたものである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る