第522話 王都ジークセンの中心部の攻略2

正攻法で王都の中心部を攻略するには被害が大きくなり過ぎる。

ドナシアンが提案した作戦は、≪飛翔≫が使えるジェロ達を活用する案であった。

「もちろん、3人ばかりで敵のど真ん中に攻め入って兵糧を燃やせ、敵幹部を殺してこいってわけじゃない」

「え?違うのか?」

「王城って物は、いざという時に王族達が逃げるための内緒の通路が用意されているってのは常識だろう?」

「はい、私達が逃げるときにもそのうちの1つを使用したのですが、他の経路はまだ教えて貰えて居なかったのです」

モーネ王女は、残念そうに発言する。

「あぁ、大丈夫だ。レジスタンスには元々王城勤めだったが、国王達の横暴に我慢ならず在野にあった者たちが居ると言っただろう。そいつらの案内で、地下道から城に忍び込ますんだ。もちろん、空を飛べる3人には陽動をして貰った方が良いだろうがな」


結局は危険な役回りであると理解するジェロだが、ドナシアンに反対意見を言える胆力はない。

「テルガニ子爵、私の護衛だけのはずがこのようなことになって申し訳ありません」

モーネ王女が謝罪してくるが、なし崩し的にジェロが搦手(からめて)以外のところにも駆り出されていくことが回避できないことを理解している。



「わかりました!ジェロ様にお一人で危険な役回りはさせませんから」

リスチーヌは≪飛翔≫を習得してから危険な役割が増えたのだが、積極的に協力するとアピールしてくる。対して、アルマティは特に変化は無くいつものことという感じである。

「私たちは城壁の上から可能な限り支援させて頂きます」

イドやレナルマンは、解放済みエリアと未解放エリアの境の城壁での陽動部隊に参加することになった。もうここまでくるとモーネ王女の護衛部隊らしい役割はほぼ不要なためである。

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