第509話 ザーローネ解放(+簡易地図)
大きな損害が無いままザーローネの街を帝国兵から奪還できた皇国軍。
国民の被害も抑えられた上に、帝国から自国の街を初めて取り返したモーネ王女は喜びを隠せない。
しかし、皇国からのラーフェン解放軍の司令官ドゥケ、副官のアルノワとデュクロの表情は優れない。もちろんザーローネの解放自体は嬉しいのであるが、ラーフェン王国への国境を越えてからいくつも伝わってくる北方、ベルカイム王国での戦況が芳しく無いのである。
初めは狼煙のみであったが、早馬による詳細の伝達も順々に届くようになった。
皇国から5,000人もの軍勢を急ぎ送り込んで何とか守っていたリブルドーの街が帝国軍によって陥落したというのである。その後も何度か届く知らせも、帝国軍がどんどん北上してベルカイム王国の王都ルージャンを目指しているとのことであった。
中には、ベルカイム王国のザカリー王太子の援軍も帝国軍に駆逐され生死不明というものもあった。
もちろんラーフェン王国の王族であるモーネ王女に直接は言えないが、ユニオール皇国の幹部にとって、もともと属国のようなベルカイム王国の方が、それほど交流が深いものではなかったラーフェン王国よりも大事である。
そのベルカイム王国へのムスターデ帝国の侵略を抑えるために、その脇腹をつく形でラーフェン解放軍を結成したのであり、ザーローネ解放を喜ぶよりベルカイム侵攻に頭を悩ます方なのである。
こうなっては元の目的は違うのだが、ラーフェン王国の街の解放をさらに続けることで、ベルカイム王国を支援する皇国への後方支援とするしかない司令官のドゥケ達であった。
〜〜〜〜〜
大雑把な位置関係:
<コンヴィル王国> ‖ <ベルカイム王国>
サンレーヌ−−−‖−−王都ルージャン−−−ランソンヌ
王都ミューコン | ‖ | \
| / | ===
| / | ‖ \
モージャン−−−ガニー リブルドー−−−−‖−−−−皇都ナンテール
| | ‖ <ユニオール皇国>
ニースコン ローニャック |
| | |
=== === |
| | |
ゲンベラン−−−−−−−−−王都ジークセン−−−−ザーローネ−‖−−
<ラーフェン王国>
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