第508話 ザーローネの攻略3
モーネ王女と共に仲間達のところに戻ったジェロはため息をつきながら椅子に深く沈む。
「ジェロ様、それで追加の指示はなんだったのですか?」
「帝国兵の格好をした者だけ闇討ちして欲しい、と」
「え!?」
「うん、そういう反応をすると、では、と言われたのが、冒険者達をこっそりと城壁の中に送り込んで欲しいと。夜中に≪飛翔≫を使って」
「それは良いように誘導されましたね。でも、人を一人運ぶ力があるのがジェロマン様だけですと、時間がかかりますよね」
「それも織り込み済みのようで、この魔導書を貸し出してくれた」
≪筋力向上≫という無属性、というよりは回復魔法に系統は近そうな魔法である。
ということで、と≪飛翔≫ができるジェロ、アルマティ、リスチーヌが運搬人に自然と決まる。≪筋力向上≫の修得がはやいジェロとアルマティが男性、修得が2人より時間のかかるリスチーヌが女性の冒険者を運ぶ。元の筋力が少ないアルマティとリスチーヌが運ぶ時には、鎧や武器などの荷物に関してはいったん魔法の収納袋に入れることで負担を減らしている。
さらに運搬時に発見されにくくするため、闇魔法の≪大夜霧≫も併用する。
少しは仲良くなった冒険者達ではあるが、普通は一生に一度でも見ることができない王級魔法の≪飛翔≫を実体験することや、貴族のジェロ、美人の女性達と触れ合って運ばれることなどで興奮する姿を繰り返し見ることになるのにうんざりするジェロ。
また、モーネ王女が街の上空で演説することを繰り返したことも功を奏して、ザーローネの街は解放されることになった。
衛兵も含めた住民達が、数少ない帝国兵を拘束し、城門を開いたのである。もちろん100人単位で送り込んだ冒険者達が手を貸した、もしくは帝国兵を減らしていたと想像される。
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