第507話 ザーローネの攻略2

「モーネ様に何をしている!攻撃させるな!」

モーネ達と思われる上空に対して弓矢や魔法で攻撃が開始されるのを、自宅の窓から見た住民達が叫ぶ。

一部は屋外にまで出て攻撃元のところへ集まろうとするのが見えたが、

「私はご覧のように大丈夫です!皆様、自分の身の安全を大事に!私はいったん引き上げます。また平和になった街でお会いしましょう」

とモーネが声をかけることで蜂起にまでは繋がっていない。



作戦が終わり皇国軍の軍議に再び顔を出したモーネ王女とジェロ。

「まさかそのような手段に出るとはな。東西南北それぞれの城門の外から声をかけるだけと思っていたのだが」

「私たちがやり易い方法を取らせていただきました」

「いや、もちろん結構です。これで街内の帝国兵達は、住民の蜂起が怖くて積極的な行動が取れなくなったはず。十分な成果です」

「おそらく街の中に残る帝国軍は数百人も居ないでしょう。万が一、衛兵を含めた住民が蜂起すると抑えきれないはずです」

「これでザーローネの街は落ちたも同然。総攻撃と行きましょう!」

「アルノワよ、まぁ落ち着け」

「はい、ここは街の中の燻りを活かすためにも、城門の外から帝国兵への挑発をする程度にしておきましょう」

「デュクロ殿、それでは時間がかかり過ぎるのでは?ベルカイム方面の味方のためにはもっと急がないと」

「いえ、ここで兵力を無駄に損傷することなく、一つ一つの街を順次落として行く方が皇国のためになります」

デュクロはモーネの顔を見て付け足す。

「もちろん、ラーフェン王国の国民をいたずらに怪我させることなく開城させて行くためでもあります。ただ、国民の被害を減らすため、モーネ王女の護衛殿にはもう一働きして頂けますかな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る