第506話 ザーローネの攻略

皇国軍1万がザーローネの街の近くに陣を設営したことで、街の城門は全て閉じられたままである。

皇国軍が攻めてきたと帝国軍は街の中に触れ回り、戒厳令、非常事態命令で不要な外出をしないように住民に指示している。ラーフェン国民を完全に掌握できたと思っておらず、いつ内部から蜂起されるか不安があるからである。


そのような中、天気も良い明るい昼間にも関わらず雷鳴が轟く。

皆が不思議に思い空を見上げるため窓に近づく。

「ザーローネの街の、ラーフェン王国の国民の皆さん。私はモーネ・ラーフェンです。父達が不甲斐なくムスターデ帝国に支配されるという苦痛を、誠に申し訳ありません」

「え?本物?どこから聞こえるの?」

「あそこ!空を飛んでいる1人がモーネ様か?」


「今、私はコンヴィル王国そしてユニオール皇国のご支援も頂いてこの街に来ております。この空を飛ぶ力、この雷の力も全て味方です。この街もすぐに解放して貰えます!もうしばらくの我慢です!」

風魔法≪集音≫の応用で広めたモーネ王女の声で皆の注目を集めたことを理解したジェロは、デモンストレーションとして≪爆雷≫を城門内側の広場に誰も居ないことを確認した上で発動させる。モーネ王女が、ラーフェン国民の衛兵達も城門付近に駆り出されている可能性を心配したからである。

「皆様、繰り返します。城壁の外の皇国軍は味方です!」


いくら風魔法で声を広められるといっても限度があるため、東西南北の4つのエリアで同様のことを行う。

最後の2エリアになると、近くのエリアの内容を認識した帝国兵が集まって来ている。

「世迷いごとを!ラーフェン王族が国民を食い物にしていたから帝国が救いに来たのであろうが!射て、射て!」

元々のラーフェン国民もいる衛兵や、元から帝国兵のそれぞれに対して弓矢、もしくは魔法の発動を指示する帝国幹部。しかし、わざと狙いを外す者もいるが、そもそもそれなりに上空にいるために当たらない、もしくは≪結界≫魔法の効果で被害は無い。


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