ベルカイム王国での状況を知ったジェロ主従。

「それって、もしかして皇都ナンテールでヒルデリン王子と別れたとき、ベルカイム王国やコンヴィル王国に向かって貰っていたら危なかったということか」

「そうなるな。ベルカイム王国のアンネ王女と共に皇都に残って貰ったのはある意味で正解だったのであろうな」

「王都ルージャンにしばらく居た時の知り合い達も心配だけど……」

「どちらかというと、一般住民ならば戦場に行くこともなく、万が一占領されても命は保証されると思いますよ」

「そうですよ。それよりも、モーネ王女との外交使節団の本来目的であるラーフェン王国救援の各国体制がある意味で整っている現状、このまま次々と街を解放して行くことが、ベルカイム王国への支援にもつながりますよ」

ジェロが戦争自体には未だに積極的ではなく、誰か知り合いを助ける、守る等の理由がないと敵軍と戦うことに躊躇することが分かっている家臣達が状況を説く。

「うん、帝国の占領下で二等国民と虐げられているのは見てきたからね。それにガニーの街も帝国兵に酷い目にあったしね。モーネ王女やヒルデリン王子のためだけでなく、ラーフェン王国から帝国軍を追い出した方が良いことは頭では分かっているんだよ」

まだ前世での感覚に引っ張られているのだろうと自覚しているジェロ。

『まぁ本当はジェロが敵をたくさん倒して人間の魂をそれだけ貰える方が嬉しいのだけど、中途半端な気持ちのまま戦場に行って死なれるのは困るから、無理しないようにね』

『悪魔のヴァルにそんな気を使わせてすまないな』

『そう思うならば、どこかで見返りを頂戴ね』

『うーん、悪魔に借りを作るのは前世記憶がダメという……』

『契約前もそう言っていたわね。まぁそうやって調子を取り戻してね』

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