第501話 ラーフェン東方の国境攻防2
部下の献策に従い、帝国軍の建物の包囲陣を解いて、その西方にあるザーローネの街へ進軍するように見せかけた皇国軍のアルノワ。
しかし、帝国軍はその後を追いかける素振りもない。
「どういうことだ!?」
「は、ザーローネに向けてドゥケ司令官の本隊が向かっていないことが見えているからかもしれません」
「ではどうすれば良いのだ!途中合流して来た領地持ちの奴らもザーローネに向かわせるような作戦をとれば、我らの面子がなくなる。今後の統制が取れなくなるぞ」
「は、多少の犠牲は目をつぶり、強引に攻め落とすと良いかと。例えば冒険者達を前面に進軍するなど」
「確かに騎士団員を無駄に減らすことは避けたいが、冒険者であっても消耗する作戦については、ドゥケ司令官はおそらく許可をしないであろう……」
「では。迂遠(うえん)に思えるかもしれませんが、ある意味正攻法で行きましょう。近くの林から木々を切り出して、それを盾に丘を攻め上がりましょう」
「ん?臨時の盾を作るということか?生木のままで?強度や重量は大丈夫なのか?」
「はい、生木ですと重いですが、火矢でも燃えにくいので今回の用途には良いかと。逆に青々とした葉もついた木のままで、盾に加工もせずに木のまま利用するのも、強度面を上回る価値のある手だと思います。視界を遮りますし、こちらは馬も含めて数が多く、それこそ馬力に余裕はありますので多少の重量は苦になりません」
「ほぉ、なかなか良さそうではないか。早速工作隊に木々を切り出させろ!」
無視して街に向かう素振りで誘き出す作戦は失敗したので、帝国軍の立て籠もる丘への攻撃を再開する。木々の用意が追いつくまでは、今までのように通常の盾を用いて、弓兵や魔術師を前方に連れて行きそこから攻撃をさせている。
帝国軍は再び射程の長い弓での反撃だけでなく、火矢や火魔法による攻撃もしてくるが、籠城兵の消耗品を減らさせていると割り切るアルノワたち。
「木々の用意が出来て来ました!」
「やっとか。今すぐ開始しろ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます