第498話 ザーローネ東の国境2

「ということで、モーネ王女には後ろでどっしりと控えて頂き、この場は我々皇国軍そして冒険者達にお任せを」

「ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」

皇都ナンテールを出発した後に、途中で次々と合流することで増兵されていったラーフェン解放軍。出発当初は二千数百人ほどであった。大体の内訳は、騎士団が2,000人、魔術師団が50人、モーネ王女とジェロ達で20人、冒険者達が300人である。

それが、ゆっくり行軍した効果なのか皇国内のあちこちの貴族が駆けつけたり、途中の街などから冒険者が追加されたりして、今では1万に近い規模になっている。


しかし増えただけ指揮命令の統制が難しい。

当初から騎士団の侯爵であるアクセル・ドゥケが司令官、騎士団の伯爵であるジョルジュ・アルノワと魔術師団の伯爵であるマテオ・デュクロの2人が副官であることは変わっていない。

ただ、合流して来たのが領地持ちの貴族達であり、自分達の騎士団を引き連れての参加であるため、手柄争いも発生する上に、不要な経費を払いたくないため撤退も早いと想定される。


そのため、まずは皇都から引き連れて来た皇国の騎士団と魔術師団で国境の帝国兵に対処する姿を全軍に見せたい意向があった。帝国軍がベルカイム王国に侵攻したままで、この地方は手薄に見えたので、指揮命令系統がはっきりしている部隊のみで攻撃する作戦である。



「まぁ司令官達の意図も分かりますよね。一番槍の功績が欲しいというよりは、自分達の力を見せつけて、その後の統制をやりやすくしたいのですよね」

「流石はレナルマン。でも帝国軍はそんなに少ないのですかね」

「こちらの行軍がゆっくり過ぎて、ブラフだと思ったのであれば大丈夫かと」

「そうだね。私たちはモーネ王女の護衛として、ありがたく後ろで待機させて頂きましょう」

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