第497話 ザーローネ東の国境
歩兵や王族の馬車も含まれるため非常にゆっくりした行軍であったが、ラーフェン王国との国境付近にまでたどり着いたジェロ達。
道中ではますます冒険者達と家臣達の仲が深まったようであり、そのおかげか、行軍中にも関わらず彼らの技能は向上しているようである。そういうジェロ自身も、夜に≪飛翔≫で抜け出して魔法訓練をしていたため、同時発動数の増加など様々な成長を実感している。さらに、途中の街などで薬草などを追加調達してポーションの調合をし、売却もしていたことからかなりの皇国金貨も入手済みである。
「この街道をこのまま西に進めばラーフェン王国の最東の街ザーローネに到着する。我々の最初の仕事は国境の帝国軍を追い払い、そのザーローネに到着、そしてそのまま奪還することである!」
「ドゥケ司令官、よろしいのでしょうか?我々はベルカイム王国に侵攻している帝国兵を撤退させることが第一目的であり、あくまでも帝国軍の脇腹をつくためだけであれば、ザーローネの奪還までは必須では無いということも」
「副官アルノワ、良く分かっているようで分かっていないな。副官デュクロ、説明してやれ」
「は。愚考しますところ、ムスターデ帝国も馬鹿ではないので、こちらの本気度合いを確認したいのでは無いかと。今回は大々的にあちこちに宣伝しながらこの国境付近までやって来ました。しかもかなりゆっくりと。それを踏まえて、帝国側もこちらはブラフ、虚勢の可能性が高いと思っているのではないかと。逆に油断して手薄かもしれないザーローネの街まで奪還しておけば、ベルカイム王国に侵略している帝国軍が焦り最終的には撤退まで追い込むことも容易になるのではないかと存じます」
「流石はデュクロ。そうだ、こちらが本気であると思わせるためには、その実績を具体的なもので示す必要があるのだ」
「ということは、その先の街を含めてラーフェン王国全体の奪還までは?」
「もちろん可能であれば行えば良いが、我らがユニオール皇国としてはベルカイム王国の方が優先である」
「モーネ王女やその護衛達、そして冒険者達には内緒な話ということですよね」
「当然である」
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