第496話 交流会のその後2

冒険者との交流会の後は、ますます家臣達と冒険者達との間が近くなったようである。元々から行軍がジェロ達の後ろが冒険者達であり物理的にも近かったのが、気持ち的にも近づいたようである。


実際に、野営の休憩時間には仲間内で木剣を用いた模擬戦を行っていたのだが、一緒にさせて欲しいとの申し出が増えたのである。

貴族への仕官の伝手という下心がある者もきっと居るとは思われるが、イド達はジェロのためにも能力向上を意識しており、手の内もわかっている身内だけの模擬戦よりも、それなりの腕がある他人との訓練は歓迎である。


ジェロは荒くれ者が仲間達の近くに来ることを苦手に思わないでもなかったが、仲間達の訓練につながることは理解している。その間は馬車の中でできる訓練やポーション調合、もしくは仮眠をとり、夜中に≪飛翔≫で遠くに行っての魔法訓練に備えていた。

≪氷結・改≫≪氷壁・改≫のように既存魔法に対して前世知識を活かしての改造に挑戦しており、それなりの成果が出て来ていた。



モーネ王女自身はジェロ達が訓練をして戦闘力が上がることは否定することではないし、自分が帝国軍から助け出されたときにジェロが傷ついた魔人戦がきっかけであることも気づいているため、彼らの気持ちを尊重してくれている。

ユゲットとジャクロエも、騎士としての訓練は受けているのでそれをきっかけに仲間に入りたいところであるが、今の本業がモーネ王女の側仕えであるため我慢している状況であり、否定はしていない。


ユニオール皇国の騎士団や魔術師団の自尊心だけが高い、特に貴族生まれの者たちは、冒険者たちの相手をジェロ達がすることで自分たちの手を煩わさずに統制できるのを歓迎する者、ジェロ達を余計に見下す者、両方であった。

向上心が高い者達は、先日に王級魔法などを見たことから、交流に混じりたい気持ちはありつつも、軍の規律などを気にして悶々としていた。ナンテールのダンジョンで訓練する頻度が多い下級の兵士ほど、冒険者達と気持ちが近い者も多いのでその傾向が強かった。

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