第473話 皇都ダンジョン

ベルカイム王国にムスターデ帝国が侵略するという戦争が勃発したところであるが、ジェロ達はどこか遠くの話という感覚である。もちろんモーネ王女達のためにラーフェン王国からムスターデ帝国を追い出すことに関係するのは理解の上ではあるが。


冒険者ギルドでの依頼状況を見に行ったイド達に聞くと、ベルカイム王国への支援とラーフェン王国国境への増兵のどちらにも従軍依頼が来ているらしい。

もちろんジェロ達の主従はそちらの依頼を受けることはなく、逆に人手が少なくなる他の依頼をこなそうと考えていたのだが、街中での雑用以外の討伐依頼は意外と少なかった。


「皇都のすぐ近くにあるナンテールダンジョンが魔素を集めているので、地上の一般の魔物は少ないという学説があるそうです」

「へぇ、モージャンもすぐ近くにダンジョンがあって栄えた迷宮都市だったけれど、魔物もそれなりに周りにいたよね。ここのナンテールのダンジョンはモージャンより強い、深いのか」

「ジェロ様、モージャンのダンジョンではちょっと入っただけぐらいでしたから、ここではしっかり挑戦しに行きましょうよ」

「いや、それは……」

「リスチーヌ、俺達はモーネ王女達が移動される時にはご一緒するから、長期的に出かけることは出来ないだろう?」

「まぁ、交代で訓練のために行ってくるぐらいのことは良いんじゃないか?」

「そうだな、適当に2チームぐらいに分かれて、留守番とダンジョン挑戦と分担するのはいいだろう」

最終的にはイドとレナルマンが話をまとめる。


家臣達も、ジェロのためにも強くなるとモーネ王女奪還後に決めたのだが、最近は訓練らしいことがあまり出来ていない焦りもあるようである。ジェロも何となくはわかっているので、ダンジョン挑戦を許可するのであった。

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