第470話 皇城の混乱3

コンヴィル王国とラーフェン王国の合同使節団の思惑は置いておき、流石は大国であるユニオール皇国の皇帝である。病床ではあっても、実質の属国のようなものであるベルカイム王国へのムスターデ帝国の侵略は許せないと即断する。

合同使節団の依頼に基づき、帝国に圧力をかけるためラーフェン王国との国境に増兵しようとしていた戦力をベルカイム王国に派遣することに決定したのである。


「モーネ王女殿下、以上のようなことになりました」

「状況は理解しましたが……」

「もちろん、ラーフェン王国を占領している帝国兵への圧力のための増兵は取りやめたのではなく実施しますが、今しばらくお待ちください、ということになります」

「はい……承知しました。もちろんこちらはお願いする立場。このような状況なのにご配慮感謝いたしますとお伝えくださいませ」

「は!」

皇城内にある外交使節団のために用意されたエリアで、皇国からの使者が使節団の皆、特にラーフェン王国の王女であるモーネに対して状況説明を行っていた。


「そうなりましたか。確かに帝国の侵略速度はラーフェン王国の時にもわかっていること。1日でも早くベルカイム王国に兵を派遣する必要があることは理解できますが」

「ムラン伯爵……そうですね、私たちはお世話になっている身。決定を伺うだけですよね……皆様もこの皇国で待機を続けることになるのでしょうか」

「そうなるかと。もともとはベルカイム王国に戻り、帝国への共同戦線を説得する予定でしたが、既に帝国に侵略をされ始めた状況。その説得は不要になりましたが、ベルカイム王国経由でコンヴィル王国に戻ることも出来なくなりましたので」

「テルガニ子爵はどうされるのですか?」

モーネ王女が今後の身の振り方を聞いてくる。

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