第460話 ローニャックの街
「おい早くしろ!そっちの物資はこっちだ」
ベルカイム王国でも最南端のローニャックの街。ここはラーフェン王国に一番近い街でもあり、その国境付近ではムスターデ帝国の軍勢が陣取っている。
「何で急に王都方面からの物資が届くようになって来たんだ?」
「さぁなぁ。上の方々の考えは分からない。でも、やっぱり我々ベルカイム王国はユニオール皇国の庇護の下で生きるのであれば、ムスターデ帝国など追っ払う、という態度なんじゃないのか?」
「あれ?でも俺たち王国騎士団はノヴェール団長の意向で帝国寄りなんじゃなかったのか?」
「だから上の方々の考えは分からないんだよな。色々と経緯があったんじゃないのか?まぁごちゃごちゃ考えても仕方ない。届く物資をそれぞれちゃんと配備するのが俺たちの仕事だ」
「分かったよ。夜はこの到着物資の書類整理があるし、しばらくは残業続きだな……」
一方、その国境の南側、ラーフェン王国内のムスターデ帝国軍の陣地。
「オンハルト王太子殿下、あなたは立場をご理解されているのですか?」
「分かっているさ」
「本当ですか?1人で草むらに隠れているところを捕まったのですよ。我々帝国にするとあなたの利用価値はモーネ王女より低い。ラーフェン王国の国民を従わせるには、あなたよりモーネ王女の方が使い勝手が良い」
「とは言っても逃げられたんだろ?」
「ぐ。そうですよ、だからこそあなたを殺すよりは少しは利用しようとしているのですから、素直に従って貰いましょうか」
「は、俺に兵士を持たせたらベルカイムなんて弱小国、簡単に蹴散らしてくれるのに」
「そういうところですよ。あなたには指揮官の能力も人望も何もありません。単に血筋だけなので、おとなしく神輿に乗っていれば良いのですよ」
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