第453話 ジャムス・ユニオール
謎の屋敷にある謁見室で、ひざまずいているのに表を上げるように言われたジェロ達。
対応に困っていると
「大丈夫ですよ。どうかお顔をお上げください。ここには私の身近なものしかおりません」
と追加の言葉を貰う。これ以上は余計に失礼と思って顔を上げる。
「随分とお若いのですね。私はジャムス・ユニオール、このユニオール皇国の皇太子です」
まさか本人の登場と驚いてしまうジェロ。
「そうですよね、驚きますよね。この周りの者たちにも指摘されましたが、私ができるお礼は限られていますので、せめて誠意をと思いまして」
「は」
としか答えられないジェロ。
「ご説明しますね」
とサリニャック子爵が話し始める。
ワイバーン討伐のこと、皇国の民の被害を抑えられて大変感謝している。あの村には別途見舞いの使者を送ることにする。
ただ、今回のワイバーン討伐を大々的に発表はしない。短期的にみると武官派閥の勢力にダメージを与えることが可能であっても、自身が皇太子の今も、これから皇帝になった際にも頼りにするべき武官たちとの間にシコリを残すことは避けるためである。
となると、皇太子派閥に恩を売る目的が達成できたのか不安になるジェロ。
「ご心配されなくて大丈夫ですよ。私ジャムスは、ドゥネーヴ宰相、そしてテルガニ子爵たちのご配慮には感謝しています」
と言い、立ち上がって頭を下げる。
「「殿下!」」
と周りの貴族たちと思われる者たちが騒ぎ、ジェロ自身もどうすれば良いのか戸惑うが、ジャムスは身振りで抑え、再び着座する。
「コンヴィル王国、ラーフェン王国の合同使節団がいらっしゃるとのこと。その時にはこの度のご恩を踏まえた対応をさせていただきますからね」
との言葉を発して、皇太子は退席していく。周りの者たちも去っていき残ったのはジェロたち3人を除くとサリニャック子爵のみである。
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