第452話 謎の屋敷2
裏口から入ったので敷地の全体像は分からないが、それなりの立場にある者の屋敷であることは間違いないと思われる。
案内された応接室も、朝の商家の別宅程度とは全く違う広さと調度品である。
ジェロは暗殺されるためではないかなと少しホッとするが、それに気づいたマドロールが首を振って油断しないようにと釘を刺してくる。
この調度品の中ではローブ姿は場違いにも思えるが、今更正装に着替えるわけにもいかないのでそのままである。
少し待つと、朝にも会ったサリニャック子爵が入室してくる。
「お待たせしました。こちらへご移動をお願いします」
今朝の冒険者対応とは別の口調であることに違和感があるが、質問は許されない感じである。どのような流れになっても良いように、モーリートを先頭にジェロとマドロールという今朝とは違う、ジェロとモーリートが前、マドロールだけが後ろという並びでついて行く。
案内されたのは謁見室であった。
奥の一段高いところにすでに着座している人はいる感じであるが、部屋内にはそれほど多くの人は居ない。
サリニャックも部屋の入り口で別れた後は、壁際に向かい、ジェロ達に前に進むように身振りで指示する。正直ジェロはそれほど経験豊富なわけではないが、仕方なく俯いたまま前に進みひざまずく。
3人がひざまずいたところで、サリニャックが発言する。
「ワイバーンを討伐された金級冒険者でもある、コンヴィル王国のジェロマン・テルガニ子爵。また仲介をされたベルカイム王国のドゥネーヴ宰相の配下のモーリート殿でございます」
「この度のことには感謝しております。どうか表をお上げください」
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