第451話 謎の屋敷

皇都にあるベルカイム王国の屋敷で待機を続けると覚悟したジェロ達。

しかし次の呼び出しは、サリニャック邸に訪問したその日の夜にあった。

「急いでご用意ください。次の行き先は私も存じていない場所になります。サリニャック子爵は以前からお付き合いも深かったので分かっていましたが」

モーリートが慌てて説明してくる。


「それって、普通に考えるとサリニャック子爵より上位の方ということになるのでしょうけど、万が一には口封じのための場所の可能性も……」

「リスチーヌ、怖いこと言うなよ」

「イド!何事も色々な可能性を考えるのよ。私たちはジェロ様の家臣なんだから」

「少なくとも何があっても良いように、少し離れたところから付いていきますからね」

「あぁ、お願いするね」

『まぁ私が付いていてあげるから』

『もちろん、ヴァルにも頼むね』


サリニャック子爵からという指示書にあった場所には、朝にサリニャック邸に向かったのと同様にモーリートとジェロとマドロールの3人が徒歩で向かう。その3人からそれなりに距離をとってイド達が徒歩で付いていく。ワイバーンの卵を屋敷に残して身軽になったコンスタンも、である。


あらかじめ分かっていたことではあるが、指示書にあった場所は貴族街とのことで、大きな屋敷が並ぶ場所である。その一角にベルカイム王国の屋敷もあるので、朝よりは歩く距離は短いが、すでに暗くなっていること、行き先に不安があることなど緊張と疲労の量は比較にならない。

着いてみるとやはり大きな屋敷であり、流石に正門から入れるわけがないと理解するので、裏口をノックしてモーリートが名乗ると扉が開けられ中に招かれる。尾行がいないことを軽く確認してから扉は施錠される。

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