第446話 皇都ナンテール

レナルマン達が捕虜を宰相に届けた後、襲撃者を撃退したことまでをヴァル経由のハポリエルの報告で知ったジェロ。

『そうか、良かった。それにしても悪魔による連携は便利だね』

『そうね、≪転移≫魔法などを使えないならこういう方法になるわね』


ジェロ達はランソンヌの街を通過後、山脈で国境を越えてから、ユニオール皇国内では特に問題は発生せずに皇都ナンテールに到着するところである。後から来るはずのモーネ王女達の主街道とは違い、とにかく最短ルートということで田舎道を戦馬バトルホースで駆けて来たのである。


「ジェロ様、何ですかあの巨大な都は!」

声をかけてきたリスチーヌだけでなく、イド、マドロール、そしてコンスタンも口に出さないまでも驚いているようである。

イド達はコンヴィル王国の王都ミューコンでも壮大さに驚いていた。それが大国である皇国の皇都であれば、なおさらであるのは仕方ない。しかし前世記憶もあるジェロには、ミューコンでもそうであったが、このナンテールもそこまでの驚きではない。

巨大な壁で内部と外部が区分けされ、壁の中だけで人家の密集を納めることができるというこの世界の大都市は、前世記憶の大都市に比べてまだまだ人口密集度合いが少ないと思ってしまうのである。

ただ、その巨大な壁は、前世ではなかなか見ることが出来ない物であり、そちらの壁や城門には素直に驚くジェロであった。


ベルカイムの宰相ドゥネーヴの配下であるモーリートは当然にこの皇都に何度も来ており、同行者達の驚く姿に優越感を感じるはずだったので、ジェロの様子が残念である。

「では、ベルカイム王国の屋敷に向かいますね」

と、それぞれの身分証明で都内に入った後は、モーリートの案内で目的地に向かう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る