第447話 皇都ナンテール2
皇都ナンテールにあるベルカイム王国の屋敷はかなり立派であった。
ユニオール皇国の属国と明確になっているわけではないが、国王を含めた貴賓がそれなりの頻度で皇都に来ることが多い関係であることを示しているとも言える。
宰相ドゥネーヴの配下であるモーリートも慣れた感じで、その屋敷の中でも家臣向けと思われる少し程度が下がった建物に入る。
ジェロ達も今の立場はコンヴィル王国貴族というよりはドゥネーヴに依頼を受けた冒険者、そのためモーリートの指示のもとで動く者であるので、同じ建物に部屋を与えられる。流石に男女は分けられるが、ジェロ、イド、コンスタンが1部屋、リスチーヌとマドロールが1部屋である。
「宿屋でちゃんとした部屋をとった方が」
「いえ、ジェロ様には申し訳ありませんが、今はこの立場で皇都の様子を伺う方が良いかと」
イドの提案に対してマドロールが否定する。
「そう、今のところはこうしておいて欲しいですね。皇太子派の方に、ドゥネーヴ様からお渡ししたい物があると連絡をとっているところです。その返事が来たら、すぐに訪問できるようにここで待機しておいてください。皇都での買物、散策などもしばらく我慢してください」
モーリートからも釘を刺される。
というものの、この屋敷で上等な食事などを食べて一泊した翌朝には呼び出しを受けたようである。
「流石に切羽詰まっているのかもしれないですね。もちろん皇太子様に直接ではありませんが、その派閥の貴族の方の屋敷に向かいます。目立たないように、テルガニ子爵以外には1人までですからね」
ベルカイム王国の馬車で訪問するどころか、徒歩でモーリートを含めて3人だけで移動するらしい。仕方ないので、何かの発言に備えてマドロールが同行することになった。正直、武力はジェロが一番高いので護衛よりも、である。
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