第429話 ワイバーン討伐準備

「ムラン伯爵、Aランク魔物ですよ、飛龍ワイバーンは」

宰相ジョス・ドゥネーヴが去った後に、ムランに詰め寄るジェロ。

「Aランク魔物のヴァンパイアを単独討伐できた金級冒険者なら大丈夫なのでは?」

「先ほど数体と仰っていましたよね、あの宰相は」

「まぁ、結論がずっと出ないで議論され続けているベルカイム王国で、少しでも可能性があるようだから、頼むよ」

「それに、討伐証明を誰かに渡すって、おかしくないですか?」

「そうなのか?冒険者の仕組みが良くわからないが、誰かに手柄を与えたいのだろうか」


ムラン伯爵の言う通り、停滞し続けている交渉において、筆頭家臣である宰相がきっかけを作ってくれたなら乗るしかないことは理解するジェロ。

「ジェロ様、大丈夫です。我々はどこへでも着いて行きますよ」

イド達が慰めてくれた上で、向かう先がベルカイム王国でも東の端、ユニオール皇国手前のランソンヌという街になることなど調査をしてくれる。

ジェロ自身も、潜伏の必要がなくなったので正規の冒険者ギルド職員としての立場で、王都のギルドに情報収集に行くが、ランソンヌの街でワイバーン被害の話は王都には届いていないとのことである。


モーネ王女とヒルデリン王子達のことは心配になるが、流石にこの状態で帝国に引き渡すほどの意思決定も逆に出来ないとのことから、ムラン伯爵達と護衛の騎士団達に預けて、ジェロは家臣達とだけでランソンヌの街に戦馬バトルホースで向かう。

「久しぶりに主従だけですね。しかもバトルホースで気楽な移動。楽しいですね」

「リスチーヌ、気持ちはわかるが、この先にワイバーンとの戦闘が待っているんだよ」

「ジェロ様、大丈夫ですよ。みんな強くなっていますから」

『ジェロも新たな悪魔リバイモンの力を試すときじゃない?』

『はぁ。ヴァルも頼むね……』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る