第405話 最前線モージャン

ニースコンが陥落しムスターデ帝国の支配下になったことから、コンヴィル王国の最前線の街はモージャンとなった。

そのモージャンのすぐ横にはダンジョンがあり、この近隣の中では一番大きい街であったが、それでもニースコンからの避難民を収容する余裕はない。その上で最前線であることから、ニースコンに派遣されていた王国軍もこのモージャン付近に駐留場所を下げて来ているため、モージャンの街は需要と供給のバランスが取れずに物価高になってしまっている。

近隣のガニー、ラブリアン、サンレーヌに避難民を誘導するだけでなく、これらの街、さらに王都側の各街からも食料などの資材の調達に右往左往している。


「アンブリス、アンセルム、もっと魔物討伐をして貰えないのか?」

その状況を踏まえ、モージャン領主はモージャンとニースコンそれぞれのギルドマスターである二人に、さらなる魔物討伐で肉などの素材回収の相談をしている。

「モージャン子爵、確かにダンジョン、さらには新しいオークダンジョンがあるのである程度の魔物を狩り続けることができますが、冒険者は使い潰して良い消耗品ではありません。休息も必要ですし、怪我をすればポーション等が必要になりますが、これらも物価高で。近隣の冒険者ギルドに支援も依頼しておりますが、すでに限界です」

「わかっているが……」

「領軍や派遣軍の方の訓練も兼ねて、彼らにも魔物討伐を頼めないのでしょうか」

「そうしたいのも山々であるが、今このモージャンまで攻めて来られた場合に応戦できないと本末転倒であるし、アイツらは変な自尊心があり魔物相手は冒険者がすることと言っている。実体は言葉が通じない魔物が怖いのだろう。以前のオーク氾濫のときもそうであった。人が増えたことによる治安悪化への対応で増えた警ら業務はニースコンの領兵がしてくれているというのにそれも言い訳の一つに……」

「派遣軍は別としても、領軍はモージャン子爵の指揮下なので何とかお願いできないでしょうか。冒険者ギルドも引き続き頑張りますので」

「あぁ、まぁ……」

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