第404話 王都ミューコンでの状況把握2

宰相クリスタン・ボーヴリーから状況整理を聞いている国王ルネスラン・エビナント・コンヴィル。

「ギャストルの馬鹿者め。各地をまわらせて現場の苦労を学ばせたから、今度は、と思って使節団へ参加させたのに」

「いかが致しましょうか」

「ギャストルは勘当するだけでなく背任罪として懸賞金をかける。あいつの人質の価値を無くす。当然モーネ王女との婚約も破棄させて貰う。そして、ニースコンの民への手厚い補償とモージャン、ガニーへの追加の派兵を」

「かしこまりました。ニースコンを明け渡すことになった領主、シャアヌール・エロー・ニースコン男爵の扱いはいかがしましょうか」

「ギャストルの被害者だが、困ったな。与えられる他の領地があるわけでないし、法衣貴族として改めて叙爵するか」

「領主持ち貴族は実質2ランク上位の法衣貴族と同格、つまり今回は法衣伯爵になりますが、おそらく彼は断るでしょう。ニースコンの奪還のみを希望するかと」

「そうだよな。我が国の面子のためにもニースコンは奪還が必達目標である。追加派兵の司令官は王太子フェリックとする」

「かしこまりました。国王陛下の想いが皆に伝わることでしょう」

「ところで、ガニーを救ったテルガニ子爵はどうしているのだ?扱いを聞かれていないが」

「モーネ王女を救いにラーフェン王国に向かったようです」

「護衛任務はギャストルが解除したのであろう?どうしてだ」

「ヒルデリン王子の依頼のようです。冒険者としてのこれらの報酬はニースコン男爵が、コンヴィル王国の代理で立替払いすることになっているとのことです」

「ガニーの街を救い、魔人を捕縛したことと合わせて、しっかり報いないといかんな。ギャストルの被害への賠償も兼ねて」


追加派兵の準備には時間がかかるが、最前線となった現地モージャンでの士気向上のために、今回のギャストルの処分とフェリック王太子を司令官とする追加派兵については、最速の方法で伝えられることになっている。ニースコン陥落の詳細伝達と同じである。

王都ミューコンとモージャンの街の間は通常の馬車で約2週間の距離であるが、騎乗ではその半分。これらは情報、書状を携えた人間も宛先に到着する前提であり夜間の休憩などが必要な方法である。さらに時間短縮をする場合には駅伝、伝馬制を使い、走る人馬は都度変更して書状のみを伝える方法である。これであればミューコンとモージャンの間は数日もかからない。

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