第391話 再びステフェンの街へ
ジェロとその家臣団は、助け出せた範囲の使節団員をレジスタンス拠点に残して、モーネ王女の救出に向かう。
レジスタンス拠点には、帝国兵から回収した装備等を提供して来ている。潜入時に帝国兵に偽装する可能性を踏まえて、それぞれの体格に合う傷や血跡のないものを除いてである。
「ジェロマン、活躍していると聞いている。引き続き頑張れよ」
「はぁ」
との会話がドナシアンとの間であったが、それだけでジェロには一杯一杯であった。
最初の街であるゲンベランまでは、先に戦ったニースコンからの帝国兵がいる可能性もあるので、再び山道を通り、ゲンベランからは通常の街道を通る。そして、まずはレナルマン達と別れたステフェンの街を目指す。
レナルマンとマドロールを除いた7人組であり、先のジュリユーのおぼっちゃま作戦もできないので、ギルド職員ジェロが6人の冒険者パーティーと行動しているという理屈にしてある。メンバが少し違うが、これならば以前の“ジェロ班”とジェロの組み合わせと同じなので、替え馬2頭も含めて何となく言い訳がつきそうである。
「出発にあたり皆に言っておきたいことがあるんだ」
「はい、どうされたのですか?」
「最近の私は強い魔法が使えるようになって思い上がっていたところがあると思う。ガニーの街を防衛して、橋で使節団員を救出するときに敵を殲滅できて。だからニースコンから来た敵兵への準備が甘くて、王国騎士団員の方々を死なせてしまい、皆の怪我も増えたのではないかと」
「そんなことないですよ。強くなられたのは確かですが、あれは敵の数も多かったですし」
「いや、それが油断なんだと。自身が弱いと思って慎重になっていれば、索敵をもっと丁寧にして早め早めに逃げ出せたのではないかと。だからこれからもなるべく戦闘はしないですむ方法を考えながら行動したい」
「分かりました。我々も一緒に一生懸命に検討いたします」
「お願いね。誰も死なせたくないんだよ」
「はい、ありがとうございます……」
ステフェンの街に到着したときには当然のようにモーネ王女の馬車は残っておらず、王都への主街道沿いに行き先を探しながら追いかけることになった。
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