第380話 使節団員追跡

ゲンベランに戻る途中で、ハポリエルからヴァル経由でムラン伯爵達がニースコン側へ移動を始めたと連絡が入った。

『殺すだけならばゲンベランで殺すだろうし、既に殺していただろう』

『そうね、人質を預かっているだけなら手間と費用がかかるだけだから、身代金と交換に行くのかもよ』

『それならそれで安全かもしれないが、身代金を払われない場合はどうなるんだろう』

『まぁ戦争奴隷か、手間ならば殺されるか』

『だよな。何にせよ急ごう。ハポリエル、これからはイドを追跡しておいて』

『かしこまりました』


アルマティとゲンベランに到着した後は、何も知らぬ振りで帝国兵の拠点を見に行き見覚えのある馬車が無いことを確認する。その後はニースコンへの街道を走り、イドに指示していた魔法カードの簡略マークがところどころの木々に掘られていることを確認する。

「アルマティ、そろそろイド達に追いつくかもな」

「ジェロマン様へは私では護衛になっていませんので、早く皆さんと合流したいです」

「頼りにしているからそんなことないよ」

『あらあら、この子は赤くなっているわよ』

『だから、そんなことでからかうなよ』

『魔法の力もあるし、結婚相手はエルフのこの子でも良いと思うわよ』

『いや、奴隷契約の相手にそれはダメなんじゃない?』

『はぁ……』


そのまましばらく疾走していると前方にそれっぽい集団が見えてくる。速度を落として尾行するようにしながら、集団の様子をヴァルに見て来て貰う。

『見覚えのある使節団員達が拘束されて馬車に詰め込まれていたわ。貴族や官僚だけでなく使用人たちもね』

『え?そんな人数は入り切らない、いやそう言うことか。ご愁傷様だな……誰が生き残っているか分かった?』

『外交官のムラン、カルカイム。官僚と騎士団員も少し居そうだったけれど魔術師団員は見当たらなかったわ。重なって見えないだけかも』

『ありがとう……』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る