第381話 使節団員救出作戦検討

帝国兵の数が少ない気がしたが、しばらく使節団員達を運搬している軍隊への尾行を続ける。その中でハポリエルからの連絡で教えられたイドの場所は、街道から離れた山道のようであった。馬車の速度に並行するだけなのでそれでも大丈夫であり、勘付かれないための安全距離であるのだろう。

そのまましばらく帝国兵の隊列の後ろをゆっくり進んでいると、リスチーヌがコッソリと街道に向かってきて魔法カードのマークを木に刻むのが見えた。

「リスチーヌ」

「ジェロ様!どうしてここに?もうモーネ王女は助けられたのですか?」

「いやまだだ。ちょっと皆に話をしたい。合流しよう」


同じように山の奥に入り込み合流したイド達に状況を共有する。

「何と。モーネ王女は他の使節団員を先に救出するように、ですと?難易度が上がりましたね」

「帝国兵から使節団員を奪った後はレジスタンスの拠点に預ければ良いとレナルマンにアイデアを貰っているよ」

「確かにそれは良いですね。こちらの人数だけでいつまでも面倒を見るのは大変ですし」

「では、どこで奪うかですが、ここで一度大きな川を渡りますよね。その橋はいかがでしょうか」

「具体的には?」

「使節団員達の馬車が橋に乗ったところで仕掛けます。使節団員の前後を≪土壁≫や≪石壁≫で塞いで視界を遮った上で、欄干を壊して馬車を馬ごと川に落とします」

「え?拘束されたままでは溺れるんじゃ」

「はい、ここは水面から橋はそれほど高くないそうなので、川に≪氷壁≫で通路を作って頂きます。そうすると、帝国兵は橋上に足止めされ、目的の馬車だけ奪えます。そのままニースコン方面に逃げると見せかけておいて、途中で横道に外れてレジスタンスの拠点に向かいます」

「なるほど、良い感じだな。よし、アルマティの案で行こう。奪う馬車の数を踏まえて、その馬車の御者をする者、事前に橋で待ち構える配置など詳細を決めていこう」

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