第375話 ニースコン城門のシミ再び?

「おーい、また先触れは出したよな。この前の城門責任者を出してくれ。俺はムスターデ帝国少尉のタバート・クメッチュ騎士爵だ」

「何だ、またお前か」

「あぁ、またうっとうしい奴を見つけたんだ。今度は王子と言っているが、前よりもうるさくて、猿ぐつわを外したくないんだ。きっとシミを増やすことになると思ったんだが、念の為な。こいつだ、見てみろ」

「え?ちょっと待っていろ」


「司令官、今度は王子が捕まえられていると言っているそうです」

「あぁ?また殺してしまえ!……というわけには行かないよな、流石に王子では」

「ですよね。万が一の偽物であることを祈って見に行きましょうか」

急いで城門に駆けつけて、屋上の狭間から覗いたヴァランタンとクメッチュ。

「おい副官、やっぱり本物じゃないか」

「そうですね……」


「ちょっと待て。これ以上シミを増やすと商人達が通るのも嫌だろう。虚言の罪で牢屋に入れるから引き渡せ」

「いや待て、様子がおかしいぞ。また出直してくるから待っていろよ」

王国騎士団の派遣軍司令官と副官の指示で、城門の責任者が取り繕ってもバレてしまう。


「仕方ないですね。急ぎモージャンと王都に連絡を。ただ返事が来る前に再度、今度は大勢でやってくるでしょうね」

「ギャストル王子が人質だと戦えないからな。どうするか。まず何があっても良いように、ヒルデリン王子殿下だけはモージャンにお連れしておけ。泣こうが喚こうがユゲット嬢達に頼め。騎士団員達の護衛もつけたら良い。住民にも説明がいるだろう。ニースコン男爵とすぐに相談だ」

「そうですね。かしこまりました」

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