第355話 ヤンクイユ商会のエム
モージャンや王都ミューコンでならアナトマ商会であるが、このガニーでの知り合いの商会といえば見習いで働いたこともあるヤンクイユ商会となる。見習い時の人見知りで失敗した過去もあるから気乗りしないところもあるが、既に孤児院の後輩エムなど合同コンパの相手もいるので、まずはそこを選んでしまう。
『誰に会いたいのかな?エマニック?』
『違うよ。確かにこの前の騒動で皆が大丈夫だったかは心配だけど』
もしかすると初めてかも?と思いながら店舗の正面から入る。
「お邪魔します」
「あら、ジェロマンさん!いえテルガニ様」
合コンメンバの知的美人のブリジョゼが出迎えてくれる。
「ブリジョゼさん!ジェロマンで良いですよ。皆さんご無事でしたか?」
「あ、ジェロマンさん!どうして直ぐに来てくれなかったんですか?」
「ジェリーヌさん、ご無事なようで安心しました」
「もう、エムも無事ですよ。呼んできましょうか?」
「あ、はい、お願いできますか?あとこちらの2品の鑑定をお願いしたくて」
「わかりました。こちらへどうぞ」
応接室に通されたジェロとお付きで来たアルマティとマドロール。
「エム、無事だったのか、良かった」
「フロ姉のところには直ぐに行ったの、知っているんだから。まぁ仕方ないわね」
「ごめん。そうだ、あの神殿の横の土地、領主様から譲って貰ったんだ。これから順次家を建てて行くから出来たら見に来てね」
「分かった。流石、ガニーの英雄様ね」
「失礼します。ご無沙汰しております、ジェロマン・テルガニ子爵様」
「いえ、いつもエマニックがお世話になっております、パスカエルさん」
冒険者ギルド職員として納品に来た時にあったことがあるエムの上司のパスカエルであった。
魔人アズキアスの装備品であった短剣と指輪を早速鑑定して貰う。
「指輪は高級中位の魔法発動体なだけですね。短剣は≪毒≫が付与されていて、刃を触ると毒におかされますね」
「ありがとうございます。どちらも販売はやめておきます。かわりに薬草や薬瓶を大量に購入させてください。鑑定料と合わせてお支払いします」
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