第301話 拠点検討3

紹介された不動産屋に行ってみる。

「子爵様の王都での拠点ですか。それほどの規模の屋敷で在庫は厳しいかと。ちなみにご家族や使用人の方の数などいかほどでしょうか」

「家族はおりません。使用人はいなく、家臣が8人、馬車があるのと、馬も11頭ですかね」

「人数に比べて馬がご立派ですね。馬屋がしっかりあるとなるとやはりそれだけの屋敷になりますね。販売、賃貸のいずれでも」

「屋敷でなく一般家族の一軒家はどのくらいありますか?」

「マドロール?」

「ジェロマン様、大丈夫です。お任せください」

「はい、それでしたらもちろんいくつも在庫はございます」

「馬車も停められる物はありますか?」

「はい、商家の隠居夫婦が暮らしていた、平民としてなら少し大きめの屋敷になりますが」

「情報だけ頂けますか?」

「はい、こちらに」


いったん宿屋に戻り打合せを再開する。

「マドロール、どうしてあの屋敷の情報を貰ったのか教えてくれる?」

「とりあえずの言い訳として、最低限の規模の屋敷を調達しておくのも一手と考えました」

「そうは言っても無人で放置するために購入するのも……」

「いえ、家政婦ぐらいは奴隷で購入して頂く前提です。流石に荒れ放題になったり、ならず者が空き家と思って入り込まれたりしても困りますし」

「いや、そんな簡単に奴隷を買って増やしていくのは……」

「貴族様ならば普通のお話ですが」

「うーん……」

「ではこの宿の一部屋を長期借用、もしくはお買い上げされますか?」

「そんなことできるのかな。それに、それはわざとらし過ぎないかな」

「そうですね。では最初の通りに頑張ったけれど間に合わなかったとするため、他の不動産屋も調べに行きましょう」


王都を出発するまでにいくつかの不動産屋に行くも、やはり平民としては大きめという程度の屋敷しか見つからなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る