第300話 拠点検討2

「マドロール、早速で申し訳ないがアドバイスをして欲しい」

王都に拠点を構えることを官僚に指示され、宿屋に戻り家臣たちを集めて相談するジェロ。

「官僚の発言内容をすべて額面通りに受け取るのは大変です。彼らは自身の仕事の都合しか考えていないことが多いので。今回は事情が事情、またすぐに王都を出発するため、拠点の購入、人の雇用が間に合わなかったという言い訳をすることにしましょう。ただ、真っ向から否定をすると彼らの立場もありますので、ギリギリまで努力した証跡も残しましょう」

「色々と面倒だな」

「そういうものです。特に貴族や官僚の世界では。もし伝手があれば、彼らの上司に調整を依頼する方法もありますが、借りをつくるのも後々に問題を残しますので」

「貴族の知り合いなんて、魔術師団長のラロシェル侯爵、外交官のムラン伯爵、カルカイム子爵ぐらいかな。子爵以上では」

「この内容程度であれば、ラロシェル様にお願いをするよりも努力した証跡の方を選びましょう」

「わかった。ありがとう!」


貴族の拠点を探すのはどこが良いか、冒険者ギルドで斡旋される程度では難しいと思いつつ念のために本部に行きザールに聞いてみる。

「子爵家の拠点となる屋敷?流石にギルドでは、と思うだろ?だが、ジェロマンが居たガニーの街と違って王都では冒険者クランの規模が大きくなるから、たまにあるにはあるぞ。そういう物件を扱う不動産屋を紹介してやろう。また人数が増えたようだし、だんだんクランみたいになって来たよな」

「私を入れて9人の冒険者ですか。確かに冒険者パーティーが2組の規模とは言えなくもないですが、クランですかね」

「まだまだ増えるかもしれないだろう?大きめの屋敷を探しておいて時間稼ぎすればよいだろう?」

「はい、ありがとうございます」

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