第282話 高級上位ポーション

死霊魔法は人前で訓練できないため、人前ではそれ以外の色々と入手した新しい魔法に取り掛かった。

古代魔術での上級魔法≪豪炎≫≪火槍≫≪炎壁≫≪氷結≫≪氷槍≫≪氷壁≫は威力が強すぎるため、野営の際に使節団から遠くに離れて練習したが、初級の≪種火≫≪そよ風≫≪水生成≫≪砂生成≫の古代魔術は宿屋の中などでも練習できる。

現代魔術の≪集音≫≪必中≫≪粉砕≫も仲間たちに指導するのも含めて色々なところで行える。≪病治癒≫は長旅で水や食が合わなかった腹下しや二日酔いになった使節団メンバを相手に練習させて貰った。


複合魔法である水と火の≪熱湯≫、火と風の≪乾燥≫は、複数属性を同時に扱うことになれるのに少し時間はかかったが、風呂に入れない野営の際などに皆に感謝された。元々複数の魔法を同時発動できるようになっていたことも習得を手助けしたものと思われる。また、複合魔法は並列プログラムのようであり別途研究してみたい。

多くの魔法をジェロが使うこと、また仲間たちも次々と習得していく様を王国魔術師団のクロヴォン・タルブが苦々しく見てきていることに気づきはしたが相手にしないことにしている。


またジェロは合間でポーションの調合も行っていたのだが、新しく習得した魔法も調合に取り入れていった。

調合の手順は大きく言うと、洗浄、乾燥、粉砕、分離、溶解、励起であり、いかに不純物を混流させないかが品質の決め手となる。既に習得していた≪洗浄≫で素材や器具をきれいにし、乾燥棚などでホコリなどがつかないようにする必要が無くなった≪乾燥≫魔法を使い、落ち葉のようになった乾燥した薬草を砕くのも薬研(やげん)も使わずに≪粉砕≫魔法で粉末化できるようになった。これらも≪簡易結界≫の中で行えるようになっていたので、ますます不純物の混入機会を回避し、それに≪水生成≫の水に溶解させて、回復を促す要素を魔力で励起させる。


今までは高級下位の品質で金貨1枚になっていたが、これらにより高級上位になり金貨3枚で引き取られることになった。特級まであと一歩である。

魔法などは初級・中級・上級・王級・神級とランク付けされるが、ポーションや武器などの製品は低級・中級・高級・特級・神級と格付けされる。

『調合は化学実験みたいに決まった手順だと決まった結果が出るから良いな』

『分離のところで風魔法を工夫したらもっと高品質になるかもね』

『なるほど。また今度教えてね』 

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