第281話 死霊魔法

そしてジェロは宿屋で一人になれるようになったときに、ようやく死霊魔法の魔導書の読み込みができる。

「やっとか。この2冊、片方は教科書的な物で、もう片方は研究ノートみたいなことは確認できていたけれど」

『死霊魔法を皆の前では見ないのね』

『うーん、まだやめておいた方が良いかなと』

『力は力なのに』


ヴァルの支援を受けながら読み解いていくと、いずれも古代魔術であり教科書的な方には初級≪骸骨≫、中級≪腐肉≫、上級≪幽霊≫、王級≪死霊≫と様々な魔法が記載されていた。≪骸骨≫はEランクのスケルトン、≪腐肉≫はDランクのゾンビ、≪幽霊≫はCランクのゴースト、≪死霊≫はBランクのレイスを生成できる。

研究ノートの方は、魔人セパルの独自研究要素もあったのか様々な書き込み付きで≪下級吸血≫、Bランクのレッサーヴァンパイアの生成のようであった。

『この前の吸血鬼、レッサーヴァンパイアで生成されて、ヴァンパイアに進化したようね』

『こんな魔法、使えることを知られたら神殿などに捕まって殺されないかな』

『悪いことに使わなければ良いんじゃないの?』

『この魔法を使うこと自体が悪いことにならないかな。前世では悪魔との契約も宗教的に悪いことだったし』

『ならば今さらじゃない?』

『うーん』


『ところで、捕まった女性たちを惚れさせていた魔法って何かな?』

『吸血鬼たちが使える≪魅了≫だったのかな。モテるために使いたいの?』

『ち、違うよ、そういう意味ではなく!』

『わかっているわよ。魔法の使える魔物は便利よ。使役魔物を生成できるように頑張ってみたら?』

『魔物では無いけれどヴァルたちには助けられているよな。ま、習得だけは頑張ってみるよ』


死霊魔法は、元々魔石がある魔物は対象にしやすいが、単なる動物や人間を不死魔物にする際にはそれだけ魔力を供給すると生成できるようである。屋外での野営の際に小動物や魔鼠などを捕まえておいて、宿屋で一人部屋の際にこっそりと訓練を繰り返していく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る