第270話 使節団の今後2(+簡易地図)

「カルカイム子爵、ご説明ありがとうございました。確かに我々がこのままラーフェン王国に攻め入るのは色々と難しいと思います。王女達は希望されるかもしれませんが」

「では?」

「今回のコンヴィル王国の方針はあくまでもムスターデ帝国との全面戦争ではなく、ラーフェン王国の奪還と認識しております。そのため、ラーフェン王国に接する周辺国の味方を増やす、参戦して貰うことが肝要かと存じます。また、ラーフェン王国の王女達という外交カードはラーフェン王国周辺に注力することで効力が上がるかと」

「ほぅ、それで?」

「はい。例えばムスターデ帝国に接していてもラーフェン王国に接していない国々、例え味方が確定となったこのルグミーヌ王国と接している国でも、王女が足を運ぶのは時間がかかるほどには効果が得られないかと。そのような国には既にコンヴィル王国から別の使者が向かわれたはずの結果を伺いつつ、ルグミーヌ王国に外交を頼むべきかと存じます」

「続けて」

「はい。逆に、ラーフェン王国に接しているベルカイム王国、ユニオール皇国へはモーネ王女達に足を運んで頂くとその効果が高いかと」

「なるほど。しかしユニオール皇国はムスターデ帝国とも接する大国であるが後継者騒動でもめていると聞くぞ。そのため、ムスターデ帝国としてもその隙をついてラーフェン王国に攻め入った可能性も高いだろう」

「では、まずはユニオール皇国とコンヴィル王国の間にありますベルカイム王国に向かい、並行して情報収集されるのはいかがでしょうか」

「ふむ。ここからベルカイム王国に向かうにもいったん王都を経由することになるし、他国の状況やモージャン方面の情報も収集できるであろう。テルガニ男爵、ついこの前までは単なる冒険者ギルド職員で平民であったはずなのになかなか良い目線であるな」

「恐れ入ります」

『確かにそうよね、どうして?』

『前世では指揮官などを模擬体験するシミュレーションゲームなどが多かったからな。日本の戦国時代や中国の三国時代など。領土野心が無いから、“遠交近攻”の逆かなと』

『やはりすごい世界ね。支配者階級でもないのにそれだけの知見を得られるなんて』


議論したメンバがそのままモーネ王女達のところへ訪問し、この方針への合意を貰う。やはりラーフェン王国に早々に攻め入って国民を助けて欲しい希望はあるようだが、現実も理解されているようである。



〜〜〜〜〜

大雑把な位置関係:

      コンヴィル王国 – ベルカイム王国 – ユニオール皇国

 ルグミーヌ王国 – ラーフェン王国 – ユニオール皇国

 ルグミーヌ王国 – ムスターデ帝国 – ユニオール皇国


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