第238話 ルグミーヌ王国の王城2
「皆さま、申し訳ありません。私が焦ったばかりにあのような結果に」
「いえ、たぶん元々あの場でお話をされるつもりは無かったのかと」
モーネの謝罪にムランが答える。
「しかし、ルグミーヌ王国としては積極的にムスターデ帝国に立ち向かう気配は無いとわかりましたね。これからいかがいたしましょうか」
「難しいが、帝国の脅威などをあらためて説明して危機感をあおるしか方法はないだろう。例えば魔人の話など」
「そうですね。わかりました。現地でしか分からない、このルグミーヌの現状調査なども行い作戦を練りましょう。お前たち、頼むぞ」
「かしこまりました」
外交官の正使と副使であるムラン伯爵、カルカイム子爵の会話と指示に従う官僚たち。
そこへ先ほど宰相と呼ばれていた男が他に2人を伴って部屋に入ってくる。
「あらためて自己紹介をさせて頂きます。私は宰相のエッカルト・ベンタインです」
「王国騎士団長のルハイーン・トリアウエです。どうぞよろしくお願いいたします」
「王国魔術師団長のヘルフィト・ムブルゴイだ」
騎士団長は腰が低い感じであるが、魔術師団長は尊大な態度である。魔法が進んだ国なので魔術師団長の立場は高いのかなとジェロは内心考えながら、ラーフェン王国、コンヴィル王国の順に名乗り自身の順番では爵位だけの軽い挨拶を行う。
挨拶が終わり、主要メンバだけが着席、その他の者は立って控えるのが落ち着いたところで宰相が話し出す。
「先ほどは失礼いたしました。ルグミーヌ王国では現在トラブルが発生しており、他国とのことに関心を向けている余裕が無いのです……」
「失礼ながらトラブルとは?」
宰相の言葉が続かないので正使であるムラン伯爵が聞き返す。
「……」
「失礼しました。立ち入ったことをお聞きしました」
宰相が発言しないのでムランが謝罪するとようやく返事を返してくる。
「いえ、こちらこそ失礼しました。街に出られればわかることですので。我が国の恥をお話しすることになるのですが、魔物退治が追い付いていないのです」
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