第233話 ルグミーヌ王国へ3

このルグミーヌ王国への使節団は、モージャンから王都までの道程と違い堂々と王女達が居ることを明らかにしながら進んでいるため、道中の街々では宿屋どころか領主の館に宿泊することが基本になっていた。

ただし、この大人数の全員が領主の館に泊まれるわけが無いので、王女、王子と最低限の使用人、伯爵、子爵それぞれの最低限の使用人、護衛として隊長の騎士爵と最低限の従士までは確定となったが、それ以外は官僚たちも含めて街の宿屋などにも分散することとなった。場合によっては小さな街では宿屋にすら入り切れずに街の外に野営する者たちも出てくる。


爵位のことを考えると騎士爵より男爵のジェロの方が領主館への宿泊を優先されるべきとも思えるが、護衛としての経験を踏まえると護衛隊長のマリユーグ・ジュリユー騎士爵を優先することになった。

そこには慣れない領主たちとの堅苦しい付き合いよりは、家臣たちと一緒に居たいというジェロの希望でもあった。また、ジェロには別の思いもあった。


王都までの街では全く寄ることも出来なかった、魔道具店や冒険者ギルドで自由に買物をするためには領主館から抜け出すより宿屋から足を運ぶ方が容易であるからである。さらに、自身を含めた家臣たちとの魔法の練習も領主館では自由にできないが、野営であればもう少し機会が増える。

王都でもある程度は買えたが、薬草などの素材、薬瓶というポーション調合のための材料、皆の魔法習得のための触媒なども欲しい。当然にジェロが未修得の魔導書やコレクションのために魔法カードも探す。

残念ながらジェロが領主館に宿泊するようなことになれば、仕方なく家臣たちに依頼して買い求めた。購入資金は、王都での臨時収入だけでなく、道中でも追加調合した高級ポーションを売却して充当している。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る