第211話 装備更新

アナトマからの叙爵の祝儀として貰った≪岩槍≫の古代魔術カードに見惚れているジェロに、リスチーヌがつついて気づかせてくれる。

「これは申し訳ありません。こんな貴重なものを頂くわけには。代金はちゃんとお支払いします。幸いお金はたくさん入手したところですので」

「商人にそのようなことを発言されてはダメですよ。それがジェロマン様の良いところでもありますが。で、これはご祝儀です。先日の盗賊から入手された魔法カードへの対応を拝見し、ジェロマン様のお好みと認識しておりました。やはりこの複雑な文様のカードをお気に召して頂けたようで幸いです」

「はい、現代魔術のカードより古代魔術のカードの方がこのように美しいですよね」

「ははは、また良い物を入手できましたら今度はお買い上げ頂くために取り置きさせて頂きますね」

「はい、ぜひとも!」


「ここからは商人として。皆様、この機会に装備の見直しはいかがでしょうか?」

例えばとジェロに示されたのは革鎧と日本刀であった。革鎧は慣れた今のままの方が良いと思えたのだが、刀は今のより高品質のようである。アナトマに断った上で鑑定させて貰うと高級中位となる。

「これは良いものですね。さらに、なのですが、これよりもう少し小ぶりの刀って出回っているのでしょうか?」

「いいえ、そもそも刀は珍しいのですが、だいたいの大きさはこの程度ですね。これだと取り扱いに大きすぎでしょうか?」

「あ、そういうわけでは無く、なんとなくでして。こちらをお願いします。お願いした正装や紋章の代金と併せて清算をお願いします」

「かしこまりました。ありがとうございます。布の紋章についてはこちらからのご提供とさせていただきますので。ちなみに、私が以前に差し上げましたメダルはお持ちでしょうか」

「?はい、こちらですよね」

「はい、大事にお持ちいただきありがとうございます。貴族の方もこのようなメダルを作られるのが普通でして。ご発注いただけましたら必要な数を作らせて頂きますが」

「教えて頂いてありがとうございます。渡す人ができるかわかりませんが、それもお願いします」

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