第206話 王国魔術師団3
「いかがでしょうか。ジェロマンさんは魔人も撃退されたと伺っており、正直もっとすごい魔法を使われるのかと。ぜひ団員たちにお力をご披露ください」
「はぁ」
『ヴァル、何もしないでよ。俺だけでやるから』
『それぐらいの方が良いでしょうね……』
ジェロは無詠唱で上級火魔法の≪豪炎≫を、同じく人のいない方向に発動する。
「おぉ!」
「なんだあれは?上級ではなく王級なのか?≪豪炎≫より威力がすごいぞ」
「触媒も詠唱も魔法陣も使用していないぞ」
とざわつく横で、魔術師団長ジルベール・ラロシェルがお礼を述べる。
「流石、ジェロマンさん。あれは≪豪炎≫でよろしいのですよね?威力が団員の物とは桁違いですが」
「はい、≪豪炎≫です……」
「皆わかりましたね?井の中の蛙にならず、研鑽を続けて王国魔術師団員らしい能力を習得しましょう」
「「「は!」」」
団員たちを練習場に残して、ジェロたちは団長と共に建物に入り、応接室でお茶を飲む。
「本当に流石でした。おかげで団員たちの目が覚めたと思います。他国に比べて魔術師団の力が劣っている危機感を持つ者は少なく、団員になれたことで満足している状態でして。それなのに冒険者になる勇気もない貴族の子弟が多く自尊心だけがある者も多いのです」
「はぁ」
「また人数規模も騎士団に比べて圧倒的に少ないため、なかなか戦場でも活躍できずに魔術師団は肩身の狭い思いをしております」
「冒険者を引退した者が参加することもあると仰っていたかと」
「はい。そうなのですが、貴族の子弟が多いことから平民を教師にすることに抵抗がある者も多いので……」
「それは難しいですね」
「はい、ですのでジェロマンさんのお力を。まだまだ隠されている力がありますよね。国王陛下の御前でのやりとり、事前に筋書きがあったのはご理解されたと思いますが、ジェロマンさんのお力が前提だったのです」
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